山野井泰史の「アルピニズムと死」を読んだ。山野井は世界のトップ3人のうちの一人である最強のソロアルパインクライマー、だった。2002年まで。2002年秋、ヒマラヤのギャチュンカン北壁の単独登頂に成功するものの、その帰路に雪崩に遭い壮絶な生還劇の末に脱出し、両手及び右足の指を計10本切り落とすことになる。それでも、その後リハビリを重ね、現在は世界トップ3とは言えないが、指の少なくなった手、足で、高度なアルパインクライミングを成功させている。奥多摩に住んでて、家の近くでクマに襲われたこともあったなあ、この本にもちょこっと書いてあるけど。前にも彼に関して青臭い文章を書いたけど、それが私の伝えたかったことをうまくは伝えてはないかもしれないが、いつも感じるのが山野井の、ひとりぼっちさ加減なのだ。その極度にとんがったひとりぼっちさが、いつもちょっとせつなくて素敵なのだ。彼には、一緒に住んでるこれも優秀な登山家の長尾妙子という女性がいて、天蓋孤独ということではないが、ひとりで生きているという、人間が本来持っている、大切な、大事にしなければならない、孤独感、せつなさが、かれの登山、書く文章からいつも伝わってくる。せちがらい人間世界、商業世界、テレビ、マスコミから一歩ひいて、そこから始まる、彼のクライミング、山に賭ける巨大な情熱。19歳で単身米国に渡り、ヨセミテでフリークライミンの難ルート直登に成功し、その後は17歳の平山ユージとともにヨセミテでクライミング修行に没頭する。平山ユージはユージで、その後フリークライミングの世界で世界トップに上り詰めワールドカップ総合優勝を2度勝ち取っている。山野井は、最も厳しいソロアルパインクライミングの世界に進み、チョー・オユー、K2などでの無酸素単独登攀に成功する。上掲の「アルピニズムと死」は、最近彼山野井がよくコンビを組んで山に行っていた若い友人が、山の事故でなくなってしまったことがきっかけで書いた本。厳しい山と向き合うことを自らに課し、そのチャレンジを生きることが生きている証だと感じ、その生と死のぎりぎりをくぐりぬけて、しかし必ず、生きている人たち家族友人たちのところに帰ってくることを慎重に、厳重に自分の不文律とする。わかりにくいかなあ。それが、この本の主題だった。山野井泰史の目は、厳しく、優しく、孤独だ。
垂直の記憶 12年ほど前、ギャチュンカンからなんとか生還した後に書かれた鮮烈な本、今でもなぜか泣けてくる本なのだ、タイトルも素晴らしい 日本の文学(日本語で書かれた本という意味)の金字塔だ 沢木が書くとなぜかあざとい、山野井のような純粋無垢無邪気な人間をダシに己を語り、金儲けの道具にしやがってと思ってしまう。タイトルもクサイ、でも買っちゃって読んだ
by somuchfor
| 2015-04-03 14:22
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